石澤 眞知子 石澤 眞知子

人生100年時代50代から考える「終の棲家」とは

公開日:2025/06/11(水) 更新日:2025/06/10(火) 家づくりのこと

人生100年時代、50歳代から考える「終の棲家」とは

― 高気密・高断熱で叶える、健康で快適な暮らし ―

人生100年時代といわれる今。
50歳代は、まだまだ現役として働きながらも、少しずつ「これからの暮らし方」や「老後の住まい」について考え始めるタイミングです。子どもが独立し、これからの時間を夫婦や自分自身のために使っていくことが現実的になるこの年代にとって、住まいのあり方は人生後半を大きく左右する重要なテーマです。

なかでも近年、注目されているのが「高気密・高断熱住宅」を終の棲家として選ぶという選択です。エネルギー効率の高さだけでなく、快適性や健康維持にも直結するその性能は、年齢を重ねた暮らしに多くのメリットをもたらします。


■ 50歳代は住まいの「見直し期」

50歳代に入ると、子育てが一段落し、ライフスタイルに大きな変化が訪れます。
家族の人数が減ったり、仕事のスタイルが変わったり、健康面での意識が高まったり。
そんな変化を前に、次の住まいをどうするかを考える方が増えてきました。

これまでの家は「育てるための家」。
これからの家は「自分らしく暮らすための家」。

これから先、30年・40年と暮らしていく「終の棲家」には、安心・快適・省エネ、そしてメンテナンスのしやすさが求められます。そのすべてに深く関わってくるのが「高気密・高断熱」という性能です。


■ 高気密・高断熱とは何か?

高気密とは、家の隙間を極力なくして、外気の侵入や内部の空気の漏れを防ぐこと。
高断熱とは、断熱材や断熱窓によって、外気温の影響を最小限に抑え、室温を一定に保つこと。

この2つの性能が組み合わさることで、冷暖房に頼りすぎず、1年を通して快適な室内環境を保つことができます。

◎ 一年中、温度差の少ない暮らし

高気密・高断熱住宅は、冬の寒さも夏の暑さも室内に入りにくく、冷暖房の効率も良いため、どの部屋もほぼ同じ温度で保たれます。これにより、ヒートショックのリスクを大きく軽減でき、特に中高年以降の健康維持にとって非常に重要なポイントとなります。

◎ 光熱費を抑え、省エネな暮らし

断熱性が高いため、冷暖房の使用時間や出力が少なくて済み、光熱費も抑えられます。年金暮らしを見据えたとき、毎月のランニングコストが減るというのは大きな安心材料です。


■ 健康と快適性を支える住まい

高気密・高断熱の住まいが、50歳以降の暮らしに与える影響は非常に大きいものです。

◎ 空気の質も変わる

気密性が高いことで、計画換気がしやすくなり、空気の流れをコントロールできます。外気の花粉やPM2.5、湿気、カビといった要因を抑えつつ、24時間きれいな空気を保つことができます。これは、呼吸器系の疾患予防や、快眠・集中力の維持にもつながります。

◎ 老後の生活を支える「温熱バリアフリー」

段差をなくすバリアフリーだけでなく、温度差をなくす「温熱バリアフリー」が注目されています。
例えば、トイレや脱衣所、廊下といった空間でも室温差がほとんどないため、体への負担が少なく、特に高齢者に多いヒートショックの防止に効果的です。


■ 終の棲家だからこそ「性能」にこだわる

若い頃はデザインや広さを重視していた人も、人生の後半では「安心・安全・健康・快適」という根本的な価値に立ち返る方が多くなります。

◎ 小さくても快適に暮らせる

高気密・高断熱の家は、延床面積が大きくなくても快適に暮らすことができます。コンパクトでムダのない設計と性能の高さがあれば、冷暖房効率も良く、掃除やメンテナンスも楽になります。

◎ メンテナンス性・将来対応力

終の棲家は、建てて終わりではなく、住み続ける家。メンテナンスがしやすく、長持ちする素材や構造を選ぶことも大切です。加えて、将来的な介護や在宅医療に対応できる間取りや構造を備えておくと、長く安心して暮らすことができます。


■ 50代からの家づくりに向けて

これからの人生をどう過ごしたいか。
誰と、どんな暮らしをしたいか。
家づくりを通じて、そうした“これから”を丁寧に描き直すのが、50代という年代です。

高気密・高断熱の家は、単なる快適さの追求ではありません。
自分の体と心、そして大切な人の健康と時間を守るための選択肢でもあります。

住まいが整えば、暮らしが整う。
暮らしが整えば、人生はもっと豊かになる。

人生100年時代にふさわしい、軽やかで、健やかで、心地よい住まい。
その第一歩として、「高気密・高断熱の終の棲家」という選択を、ぜひご検討ください。