石澤 眞知子 石澤 眞知子

「建てて良かったと」言われるために、私が現場で大切にしていること

公開日:2025/09/12(金) 更新日:2025/09/04(木) 家づくりのこと

“建ててよかった”と言われるために、私が現場で大切にしていること

家づくりに携わる者として、いちばんの喜びはやはりお客様から「建ててよかった」と言っていただける瞬間です。特に私たちが取り組む高気密・高断熱・高性能住宅は、完成したその日から住まい手の暮らしに直結します。だからこそ、現場での細やかな姿勢や確認が、そのままお客様の満足度や将来の快適さに繋がるのです。ここでは、私自身が日々の現場で何を大切にしているのかをお伝えしたいと思います。


1. 「性能」を数字で裏付けること

住まいの性能は、外から見ただけではわかりません。断熱材がきちんと充填されているか、気密処理に隙間はないか、サッシや断熱ラインが正しく納まっているか——。これらは完成後には隠れてしまう部分です。

だからこそ私は、現場で必ず**気密測定(C値測定)**を行い、数値で性能を確認します。「きっと大丈夫」ではなく、「数値で証明された大丈夫」であることが、お客様の安心につながります。断熱性能や耐震性能など数値を提示すると、お客様も「この家は本当に高性能なんだ」と納得され、住み始めてからもその実感を得られるのです。


2. 大工や職人との「対話」を欠かさない

どれほど良い図面があっても、現場で実際に手を動かすのは大工さんや職人さんです。私は毎日のように現場に足を運び、作業する方々と必ず言葉を交わします。

「この納まりで不具合はないか」
「断熱材を入れるときに気を付けたいポイントは?」

職人の手元に目を配るだけでなく、互いに気持ちよく仕事ができる環境を整えることも大切です。現場の空気が良いと仕上がりも自然と丁寧になり、その結果として住まい手に喜ばれる家が生まれます。


3. 暮らしを想像しながら細部を確認する

「ここにコンセントがあると子育て中に便利だろう」
「窓の位置が少し高い方が、外からの視線を気にせずにリビングでくつろげる」

図面通りに施工するのは当然ですが、私は常に暮らしの目線を意識しています。現場で立ち位置を変え、実際にそこに住む人の気持ちになって確認すると、図面だけでは気付けないことが見えてきます。

お客様との打ち合わせで伺った何気ない言葉を現場で思い出し、「このご家族が笑顔になる工夫はできているか」を常に問いかける。それが私の大切にしている姿勢です。


4. 自然素材の魅力を最大限に活かす

私たちの家づくりでは、奈良の吉野杉や漆喰、珪藻土、和紙クロスなど、自然素材を積極的に取り入れています。これらは扱い方ひとつで表情が変わり、経年美を楽しめるのが魅力です。

しかし同時に、湿度や温度等施工時期によって仕上がりが左右される繊細さも持っています。そのため私は素材に合わせて現場の環境を整え、施工方法に気を配ります。自然素材の良さを引き出すことが、住まい手に「やっぱりこの素材を選んでよかった」と言っていただけるポイントになるのです。


5. 「建てたあと」を意識した現場管理

家は完成したら終わりではなく、そこから何十年も暮らしが続きます。だから現場でも「引き渡し後のメンテナンスがしやすいか」を考えています。

例えば、点検口の位置。将来、設備交換や点検をするときに作業しやすいかどうかは、現場での配慮次第です。また、断熱材や気密処理が見えなくなる前に写真を記録し、施工報告としてお客様にお渡しすることで、安心感を持っていただけます。


6. お客様との「共感」を大事にする

現場に来られたお客様が、「思った以上に広いですね」「木の香りがして気持ちいい」と感想を口にされるとき、私は必ず耳を傾けます。住まい手の感じ方は、図面や数値以上に大切だからです。

時には「やっぱりここは変更したい」とご要望をいただくこともあります。そのときに「もう工事が進んでいるから難しい」と突き放すのではなく、どうすればできるかを一緒に考えること。これが「建ててよかった」につながる信頼関係を築きます。


7. 家族の未来を見据えた提案

私たちのお客様の多くは30代40代の子育て世代です。家は単に「今」の暮らしのためだけでなく、子どもが成長し、やがて独立し、ご夫婦だけの時間を楽しむ未来まで考えた設計が必要です。

将来は仕切れるように子ども部屋を設計、子供が成長して巣立った時は、再び間仕切りを取り外して広い部屋に。
老後に階段の昇り降りが負担にならないよう平屋を検討したり、老後を1階で過ごせるように夫婦の寝室のポジションを決めておく。

こうした未来視点の工夫を現場でも丁寧に反映させることが、長い年月を経ても「この家でよかった」と感じていただける理由になります。


最後に

「建ててよかった」と言われるために、私が現場で大切にしているのは、性能を数値で確かめること、職人との対話、暮らしを想像した細部への配慮、自然素材を活かす工夫、将来を見据えた管理、そしてお客様との共感です。

家は一生に一度の大きな買い物であり、家族の幸せを守る器です。だからこそ、どんな小さなことでも丁寧に、誠実に取り組むことを欠かさずにいます。

そして完成した家でお客様が笑顔で「建ててよかった」と言ってくださる瞬間。それが、私にとって何よりのご褒美であり、次の家づくりへの力になるのです。

 


お申し込みはこちら