石澤 眞知子 石澤 眞知子

災害への備えは、特別ではなく「標準」

公開日:2025/10/11(土) 更新日:2025/10/11(土) 家づくりのこと

災害への備えは“特別”ではなく“標準”

―安心を日常に組み込む家づくり―

はじめに

近年、日本各地で地震や豪雨、台風などの自然災害が相次いでいます。
そのたびに「災害に強い家を建てたい」という声を多く耳にしますが、
本来、“備え”とは特別なオプションではなく、
家の性能として標準で備わっているべきものではないでしょうか。

奈良県のように比較的災害が少ない地域でも、
「万一」に備える意識は今や欠かせません。
高気密・高断熱住宅をつくる私たちは、
“日常の快適さ”と“非常時の安心”を両立させることを大切にしています。


なぜ「災害への備え」は“標準”であるべきか

家は家族の命を守る「最後の砦」です。
しかし、災害に強い家というと、特別な構造や高価な設備を想像する方も多いでしょう。
実際には、住宅性能を高めること自体が、すでに災害への備えにつながっています。

たとえば、耐震等級3の構造体は大地震にも耐える強さを持ち、
断熱・気密性能の高い家は、停電時にも室温を保ちやすいという利点があります。
電気やガスが止まっても、家の中の温度変化が緩やかであれば、
家族の安全と健康を守る時間が長く保たれるのです。

タテルナラが建てる断熱等級7(G3)の家は、冬場停電になっても16℃から18℃は保つことが出来ます。

つまり、“強くて快適な家”を建てることは、
“災害に備える家”を建てることと同義なのです。


高性能住宅が持つ「災害対応力」

高気密・高断熱住宅が、災害時にも強い理由をいくつかご紹介します。

停電時でも快適性を維持

気密・断熱性能が高い家は、外気の影響を受けにくく、
冷暖房が止まっても急激に暑くなったり寒くなったりしません。
真夏や真冬の停電でも、室温が緩やかに変化することで
“避難せずに自宅で過ごす”選択が可能になります。

構造強度と耐震設計

耐震等級3を標準とする設計は、建築基準法の1.5倍の強度を確保します。
タテルナラでは、耐震だけでなく制震ダンパーも標準仕様で入れているので、地震時にも
安心して頂けます。

地震後の補修費用を抑え、生活の継続性(レジリエンス)を高めます。
また、構造計算による裏付けをもつことは、
「見えない安心」を数値で証明することでもあります。

通気・防水・防湿設計

台風や豪雨による浸水・雨漏り対策も、高性能住宅の要です。
外皮性能の高い建物は、雨水の侵入を防ぎ、
内部結露を起こさない調湿層を備えています。
ウルト社の調湿気密シートや通気胴縁の施工など、
“日常の施工精度”が、災害時の被害を最小限に抑えます。

自然エネルギーの活用

太陽光発電や蓄電池の組み合わせは、
災害時のライフライン確保に直結します。
高断熱な家だからこそ、少ない電力でも室温を維持できる――
この「エネルギー効率の良さ」こそ、真の災害対策です。


奈良での家づくりに求められる“レジリエンス”

奈良県は比較的地盤が安定しており、津波の心配も少ない地域です。
しかし、内陸型地震や豪雨災害のリスクは年々高まっています。
また、近隣地域での停電や断水が長引けば、
“直接被災していなくても暮らしが止まる”ということもあります。

そんなときこそ、性能住宅の底力が発揮されます。
外気温に左右されにくい断熱性能、
湿気を逃がしながら密閉する気密構造、
そして自然光や風を生かすパッシブ設計。
これらはすべて、災害に強い住まいの要素です。

普段の暮らしが心地よい家は、非常時にも頼れる家
――それが、私たちが目指す“標準の安心”です。


これからの家づくりは「性能×備え」

家づくりを考えるとき、多くの方がデザインや間取りを優先します。
もちろんそれも大切ですが、**性能は見た目以上に暮らしを支える“土台”**です。
デザインと性能、そして防災の三位一体で考えることで、
本当の意味で“家族を守る家”が完成します。

私たちは、
「災害に強い家を建てよう」ではなく、
「災害に強いのが当たり前の家を建てよう」と考えています。
それが、未来の住まいの“新しい標準”です。


最後に

・災害への備えは特別なことではなく、住宅性能の基本要素である。
・高気密・高断熱住宅は、停電や災害時にも安心・安全を支える。
・耐震・防水・通気設計など、日常の施工品質が非常時の強さを決める。
・「快適」と「安心」を両立することが、これからの家づくりの基準になる。

奈良で家を建てる方にとって、
“災害への備え”を「オプション」ではなく「標準」として考えることは、
家族の未来を守る第一歩です。


 

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