今の気候に合った家づくり「5つの視点」
――タテルナラ代表が考える、“これからの暮らし”の基準とは
近年、奈良でも「四季」があっという間に過ぎていくように感じませんか。
春と秋が短くなり、夏は長く厳しく、冬は寒暖差が激しい。そんな“二季のような気候”が当たり前になりつつあります。
昔の常識で建てた家では、もう今の気候に対応できません。
だからこそ、私たちタテルナラは「今の気候に合った家づくり」を大切にしています。
ここでは、代表としてお伝えしたい“これからの住まいに必要な5つの視点”をお話しします。
①「断熱」は“快適さ”と“家計”を守る基準に
気候が変化する中で、まず考えたいのは断熱性能です。
日本の住宅は長い間、「冬は寒くて当たり前」「エアコンで調整すればいい」とされてきました。
しかし今の時代、断熱性能が低い家は、暑さにも寒さにも耐えにくく、冷暖房費がかさむ一方です。
タテルナラでは、**断熱等級6~7相当(UA値0.46以下)**を目指した家づくりを標準としています。
これは、真夏にエアコンを1台つけても家全体が涼しく保たれるほどの性能です。
反対に冬は、一度暖まった空気を逃がさないため、室内の温度差が少なく、ヒートショックのリスクも減ります。
「冷暖房をつけても効かない」
「冬の朝、起きるのがつらい」
そんな悩みを解決するのが、高断熱の家です。
光熱費の削減にも直結し、長い目で見れば**“家計を守る性能”**とも言えるでしょう。
②「気密」は“家の性能”を支える土台
断熱とセットで欠かせないのが**気密性能(C値)**です。
どんなに良い断熱材を使っても、家のすき間から空気が漏れてしまえば、その性能は発揮できません。
タテルナラでは、施工途中に気密測定を行い、実測値でC値0.5以下を目指しています。
これは、建物全体にハガキ1枚分のすき間しかないほどの精度。
気密を高めることで、計画的な換気が機能し、結露やカビの発生を防ぎます。
また、高気密な家は外の騒音を遮るため、驚くほど静かな室内環境が得られます。
「断熱」は温度を、「気密」は空気の流れを整える――
この2つがそろって、初めて**“本当の高性能住宅”**が実現します。
③「自然との調和」を考える設計
性能だけを追い求めても、暮らしは豊かになりません。
奈良の気候や風の通り方、太陽の角度を読み取る設計の工夫こそ、心地よい住まいをつくります。
例えば、夏は庇(ひさし)で直射日光を遮り、冬は低い角度の太陽を室内に取り込む。
南北の窓配置で風の通り道をつくり、自然の力で温熱環境を調整する。
これらは昔の日本家屋にも受け継がれてきた「知恵」であり、現代の高性能住宅にも通じます。
タテルナラの家では、吉野杉などの自然素材を積極的に採用しています。
木や土の素材は、湿度をやわらかく調整し、経年とともに味わいを増していく。
**“数値に表れない快適さ”**を育てるのも、自然素材の家の魅力です。
④「災害に強い構造」と「温熱の安全性」
異常気象が増える中で、住宅の災害対策も無視できません。
地震・豪雨・猛暑・寒波――すべてが身近な脅威となっています。
タテルナラでは、耐震等級3を標準とし、さらに地盤調査から構造計算まで一貫して行います。
地震に強い家であることはもちろん、温熱環境の安定も命を守る要素です。
真夏の停電時でも室内がすぐに高温にならない、
真冬でも冷えきらない――それが断熱・気密の力です。
**“災害に強い=性能が高い”**という時代。
構造と温熱の両面から家族の命を守ることが、これからの家づくりの責任だと考えています。
⑤「長く住み続けるための“維持性能”」
性能の高さは、建てた直後だけでなく、何年経っても保たれることが大切です。
タテルナラでは、見えない部分の施工精度に徹底してこだわっています。
気密シートの重ね方、断熱材の隙間処理、通気層の確保…。
どれも完成後には見えなくなる場所ですが、ここに手を抜くと性能は確実に落ちます。
だからこそ、現場での丁寧な施工と記録、第三者検査を欠かしません。
また、外壁や屋根の素材も経年美化を意識して選びます。
焼杉や左官仕上げなど、時間とともに味わいが増し、メンテナンスコストを抑えられる素材です。
“長く住み続けるほど美しくなる家”を目指すことが、タテルナラの基本理念です。
未来を見据えた「気候適応型の家づくり」へ
気候変動は、もう遠い国の話ではありません。
奈良の夏も40℃近くまで上がる日があり、冬の寒暖差も年々激しくなっています。
そんな中で「昔ながらの建て方」や「デザイン優先の家」だけでは、
家族の健康や快適さを守れません。
これからの家づくりは、
**“気候に合わせて暮らしを設計する”**ことが大切です。
断熱・気密・換気・通風・素材――それぞれの要素を一体で考えること。
それが、タテルナラが考える“今の気候に合った家”です。
最後に
私たちが手がける高性能住宅は、ただ「エコな家」ではありません。
そこに住む人が「一年を通して快適に、安心して暮らせること」。
そして、その家が「何十年後も美しくあり続けること」。
それが、タテルナラが奈良で建て続ける理由です。
**「今の気候に合った家づくり」**を考えるとき、
この5つの視点――断熱・気密・自然・災害・維持――を、ぜひ覚えておいてください。
家は、建てた瞬間だけでなく、「これからの暮らし」を守る存在であるべきです。
タテルナラ株式会社
代表取締役 石澤眞知子
(奈良で高気密・高断熱・高性能住宅を設計・施工)