石澤 眞知子 石澤 眞知子

高齢の親との同居に備える家のつくり方

公開日:2025/09/09(火) 更新日:2025/09/04(木) 家づくりのこと

高齢の親との同居に備える家のつくり方

少子高齢化が進むなかで、「高齢の親と同居できる家を建てたい」というご相談をよくいただきます。特に奈良県のように三世代での暮らしを大切にされる地域では、親世代と子世代が安心して同じ屋根の下で暮らすことを考える方が増えています。
ここでは、高齢の親との同居を見据えた「暮らしやすく、安全で快適な家づくり」のポイントをお伝えします。


1. なぜ「同居に備えた家づくり」が必要なのか

高齢の親と同居するとなると、家の中での生活動線やバリアフリー、安全性がとても重要になります。年齢を重ねると、わずかな段差や温度差が転倒やヒートショックといった大きなリスクにつながります。

また、同居は家族の距離感を大切にしないと、かえってストレスの原因にもなりかねません。だからこそ、家を建てる段階で「高齢の親が安心できる空間」と「子世代が暮らしやすい空間」の両立を考えることが大切です。


2. 高気密・高断熱の家が同居に向いている理由

私たちが提案する「高気密・高断熱住宅」は、高齢の親との同居にも大きなメリットがあります。

  • 温度差のない家
    ヒートショックは冬場の脱衣室や廊下で起こりやすい事故ですが、高気密・高断熱の家なら、部屋ごとの温度差を小さくできます。高齢の方の体への負担を軽減し、安心して暮らせます。

  • 光熱費の負担を抑えられる
    二世帯で暮らすと光熱費が増えることもありますが、断熱性能が高ければ冷暖房効率が良く、省エネで快適な暮らしが実現できます。

  • 空気の質が良い
    高性能住宅では換気システムを導入することで、カビや結露を防ぎ、きれいな空気を保つことができます。高齢の方にとって室内環境の快適さは健康に直結します。


3. 間取りの工夫 ― プライバシーと安心のバランス

同居を快適にするためには「一緒に過ごす」だけでなく、「程よく距離をとる」ことも大切です。

① 親世帯の居室は1階に

高齢の親には、階段の上り下りが少ない1階に寝室を設けるのがおすすめです。トイレや洗面室への距離も近いと安心です。

② 水まわりを近くに配置

夜間にトイレへ行く動線が短ければ転倒リスクを減らせます。また、洗面や浴室を近くにまとめることで、介助が必要になったときも負担を減らせます。

③ セカンドリビングや小さな個室

「同じリビングで過ごすのはいいけれど、少し一人で過ごしたい」という時のために、親世帯が落ち着ける小さな個室やセカンドリビングを設けるとストレスが少なくなります。

④ 音と気配の工夫

同居では「生活音」が意外なストレスになります。例えば、子世帯のリビングと親世帯の寝室の間に収納や廊下を挟むことで、音の伝わりを和らげることができます。


4. バリアフリー設計の基本

高齢者の暮らしには「転ばない」「つまずかない」工夫が欠かせません。

  • 段差をなくすフラットな床

  • 引き戸を中心にした間取り

  • 廊下や階段に手すりを設置

  • 夜間の足元灯やセンサーライト

これらは今すぐ必要でなくても、将来的に安心を生む備えになります。


5. 家族が心地よく暮らすために

同居において一番大切なのは「親世帯も子世帯もお互いに気を遣いすぎず暮らせること」です。そのためには「家の性能」と「間取り設計」の両方が必要です。

高気密・高断熱住宅は、誰にとっても快適な空気環境と温度を保ちます。そして間取りの工夫で、家族の生活リズムや価値観に合った暮らし方を叶えることができます。


まとめ

高齢の親との同居は、安心・安全・快適の3つを軸に考えることが大切です。

  • 高気密・高断熱で「温度差のない安全な家」

  • バリアフリーで「転ばない家」

  • プライバシーを尊重した「程よい距離感のある家」

これらを計画の段階から取り入れることで、親世帯も子世帯も「建ててよかった」と思える住まいになります。

奈良県で家づくりを検討される方にとって、「同居に備えた高性能住宅」は将来の安心を形にする選択肢です。