石澤 眞知子 石澤 眞知子

高気密・高断熱で叶える「自然と暮らす家」

公開日:2025/07/31(木) 更新日:2025/07/22(火) 家づくりのこと

高気密・高断熱で叶える「自然と暮らす家」

―― 四季を味方に、心と体が整う住まいへ ――

「自然と共に暮らしたい」
「心地よく、でもエネルギーに頼りすぎない家がいい」
そんな願いを持つご家族にとって、今注目すべきキーワードが “高気密・高断熱” です。

一見すると、“自然と共に”という言葉と、“性能を高める”という表現は対極のように感じるかもしれません。でも、実はこのふたつは矛盾せず、むしろ密接につながっています。
なぜ高気密・高断熱の家が「自然と暮らす家」を実現できるのか、その理由と実例、暮らしへの影響についてご紹介します。


自然と暮らす家とは?

そもそも「自然と暮らす」とは、どんな暮らしでしょうか。

・朝の光に包まれて目覚める
・窓を開けたら、やさしい風が通り抜ける
・庭や窓の外の緑を感じながら食事をする
・太陽の熱でぽかぽかと温まったリビングでくつろぐ

つまり、**「自然の力を取り入れて、五感で季節を感じながら暮らすこと」**です。
これは奈良県のように四季が豊かにめぐる土地にこそふさわしい住まい方と言えるでしょう。


高気密・高断熱の家が自然を活かせる理由

自然を活かす暮らしを叶えるためには、“自然のいいところ”だけを取り入れ、“過酷さ”は遮断する工夫が必要です。そこで登場するのが「高気密・高断熱」です。

◎高断熱で「自然のぬくもりを逃がさない」

冬の晴れた日に大きな窓から差し込む太陽の光。
南側に設けた掃き出し窓や吹き抜けから差し込む日差しは、室内を心地よく暖めてくれます。高断熱の家なら、その熱をしっかり蓄え、夕方までじんわりと暖かさが残るのです。

外の寒さはシャットアウトしつつ、太陽の熱は上手に取り込む。
これが自然のエネルギーを活かした、**“パッシブな暮らし”**の第一歩です。

◎高気密で「心地よい風をコントロール」

窓を開ければ風が入ってくる――。
でも、隙間だらけの家では「どこから入って、どこへ抜けていくか」が読めません。
気密性の高い住宅では、**“計画換気”や“意図的な通風設計”**が可能になります。

たとえば:

  • 夏の夜、涼しい風を北側の窓から取り入れて南へ流す

  • 吹き抜けの高窓を開けて、温まった空気を抜く

  • 風の抜けるラインに合わせて、窓の配置と形状を最適化

これらは高気密だからこそ「思った通りに空気が動く」仕組みがつくれるのです。


高性能住宅=自然と断絶、ではない

「高性能住宅は閉じこもったようで、自然とは遠いのでは?」
そんな印象を持つ方も多いですが、それは誤解です。

性能が高いからこそ、自然と心地よくつながれる――これが現代の住宅設計です。

たとえば、断熱材に囲まれた空間でも、外との「視覚的なつながり」をつくることで、開放感は大きく変わります。

  • 庭の緑を切り取る大きな窓

  • 空が見える高窓やトップライト

  • くぼみ庭や中庭とつながるダイニング

  • 格子や室内窓で光をつなぐ室内設計

家の中に居ながらにして、風景や太陽の動きを感じられる設計は、「自然と共にある」という感覚を日々の暮らしの中に取り戻してくれます。


奈良の気候に合った「自然と共に暮らす家」

奈良県は盆地特有の気候で、夏は蒸し暑く、冬は底冷えするという特徴があります。
この寒暖差のある土地だからこそ、「高断熱・高気密」は非常に重要です。

加えて、奈良には四季の移ろいを楽しめる自然が多くあります。
桜、新緑、紅葉、雪――こうした季節の風景とつながる家をつくることで、暮らしはより豊かなものになります。

私たちの施工事例でも、

  • 南面に配置した大開口窓と深い軒で、夏は日差しを遮り、冬は太陽を取り込む(サッシのガラスは、熱遮取得)

  • 北側に設けた細長い窓で、安定した光を室内に届ける

  • 中庭やウッドデッキで外との一体感を演出

といった工夫を通じて、「自然と上手につきあう家」を実現しています。


子育て世代にもおすすめの理由

高気密・高断熱住宅の恩恵は、子どもがいるご家庭にとっても非常に大きなものです。

  • 温度差が少なく、ヒートショックの心配がない

  • カビや結露が発生しづらく、アレルギーや喘息のリスクを減らせる

  • 換気計画で空気が清潔に保たれる

  • 静かで落ち着いた室内環境がつくれる

また、窓から自然を眺める時間は、子どもたちの感性を育てる豊かな体験にもつながります。
室内にいても風や光を感じる家。それは子育てにもやさしい住環境です。


自然を味方にするために、「性能」は欠かせない

「自然と共に暮らす家」というと、どこか昔ながらの開け放った家をイメージするかもしれません。けれど、これからの時代に必要なのは、「自然を選び取り、心地よく暮らすこと」です。

そのためには:

  • 高断熱で熱を逃がさず、自然のぬくもりを活かす

  • 高気密で空気の流れをコントロールし、快適な通風を生む

  • 視線や開口の工夫で、自然との“つながり”を感じる

そんな家づくりこそが、「自然と暮らす」ことを現代の暮らしに取り戻す一歩になるのです。

奈良の気候風土と、ご家族のライフスタイルに合わせて。
自然と心地よく暮らすための家づくり、私たちと一緒に考えてみませんか?