現場から見た「UA値」の本当の意味
~高断熱住宅の性能を支える、数字の裏側とは?~
はじめに:UA値って、実際どう役立つの?
最近、「UA値が低い家がいい」といった話をよく耳にするようになりました。住宅会社のカタログや広告にも「UA値0.46!」などと数字が並んでいます。しかし、一般のお客様からはよくこう聞かれます。
「UA値って、なんとなく断熱の数値ってことはわかるけど、実際どう良いの?」
「その数字の違いで、暮らしにどんな差が出るの?」
そこで今回は、工務(現場監督・施工管理)の立場から、「UA値とは何か?」「現場ではどう関わっているのか?」「実際の住み心地にどんな影響があるのか?」について、できるだけわかりやすくお話しします。
UA値とは何か?現場視点でやさしく解説
まず、基本的なところから。
UA値とは「外皮平均熱貫流率(うわきへいきんねつかんりゅうりつ)」のこと。
簡単に言うと、家の中の熱がどれだけ外に逃げやすいかを表す指標です。
■ もっと具体的に言うと…
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家の壁、屋根、床、窓などから、どれくらい熱が逃げているか?
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その逃げやすさを「面積」で割って、全体の平均値を出したものです。
この数字が小さいほど「熱が逃げにくく、断熱性能が高い家」だということになります。つまり、冬は暖かく、夏は涼しく保ちやすい。
なぜ工務がUA値に注目するのか?
工務の仕事は、設計図どおりに家を建てること――だけではありません。
「この断熱材の厚みで、きちんとUA値を満たせるか?」
「窓の大きさや配置がUA値にどう影響するか?」
など、設計と実際の施工の“橋渡し役”を担っています。
■ 施工段階で直面するポイント
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窓のサイズや性能を変えれば、UA値が一気に変わる
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気密と断熱材の施工精度が、UA値の“実効性”に大きく影響
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床断熱・屋根断熱など、選定ミスや施工の甘さが数字を台無しにする
だからこそ、図面上のUA値だけで満足せず、現場では「実際にその性能が出るように」細かな確認と丁寧な施工が求められます。
UA値と断熱等級の関係
国が定める「断熱等級(1~7)」という基準でも、UA値は使われます。
例えば、断熱等級6をクリアするには、奈良県(6地域)では UA値0.46以下 が必要です。
等級 | 奈良県のUA基準値(6地域) | 目安の断熱レベル |
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4 | 0.87以下 | 従来の基準(最低限) |
5 | 0.60以下 | ZEH基準程度 |
6 | 0.46以下 | 高性能住宅 |
7 | 0.26以下 | ほぼパッシブハウスレベル |
数値が下がるほど高性能になり、冷暖房費の節約にもつながります。
「快適な暮らしは“設計数値”だけではつくれない
現場で建てた家に住んでくださるお客様からは、こんな声をよくいただきます。
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「朝起きたときの寒さが全然違う!」
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「冬でもリビングにいるとき、足元が冷えない」
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「エアコン一台で家中が快適」
これは、単に気密性や断熱材がいいというだけでなく
設計されたUA値の性能を実現するために、現場での丁寧な施工がなされているからこそ得られる住み心地でもあります。
数字だけを追うのではなく「バランス」が大事
ただし、UA値が低ければ良いというわけでもありません。
■ 現場でよく考えるバランス
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UA値を下げようとすると、高性能な窓や断熱材が必要 → コストが上がる
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窓を小さくすれば断熱性能は上がる → でも採光や開放感が失われる
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極端に下げると、調湿や通気のバランスが崩れる場合も
つまり、設計段階では「快適性・コスト・デザイン・通風・採光」などをすべて考え合わせた “ちょうどいい”UA値 を見極める必要があります。
工務の現場ではここを見ている
施工現場で、UA値を意識するうえで特に重要なポイントがいくつかあります。
① 断熱材の施工精度
どんなにいい断熱材を使っていても、すき間があれば性能は落ちます。
とくにコンセントまわり、天井と壁の取り合い、床下などの細部の施工精度が非常に重要です。
② サッシ・窓まわりの納まり
UA値に大きく影響するのが窓。高性能樹脂サッシ+トリプルガラスなどは断熱には有利ですが、施工が難しくなるぶん、熱橋(ヒートブリッジ)対策も必要になります。
③ 気密測定との関係
UA値は“断熱”の指標ですが、気密(C値)とのセットで考えることが基本です。
気密が悪ければ、せっかくの断熱も台無しに。工務としては「数値の裏付けとなる測定」を通して、住宅性能を担保しています。
UA値は「家族の暮らしやすさ」に直結する
たとえば、UA値0.46の家と0.87の家では、冬の室温が3〜5度違うことも。
これは暖房を入れない状態での温度差で、快適性にも健康にも大きな影響があります。
特にお子さまや高齢の方がいるご家庭では、急激な温度差(ヒートショック)を防ぐためにも、断熱性能=UA値を意識した家づくりはとても重要です。
最後に:数字の先にある「暮らし」を考える
工務の立場から言えば、UA値というのは「数字」ではありますが、それ以上に「暮らし方」を支える土台だと思っています。
設計士や営業が提示するUA値を「ただの性能表示」として受け止めるのではなく、
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この家でどんな暮らしをしたいか?
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どれくらい快適さを求めたいか?
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冷暖房費をどこまで抑えたいか?
そういった暮らしの基準を定めたうえで、UA値という指標を「家づくりのヒント」として活かしていただきたいと思います。
まとめ
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UA値とは、家の中から逃げる熱の量を示す数値(小さいほど高性能)
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工務では、断熱材・サッシ・施工精度などで数値を実現
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UA値は快適な暮らし、健康的な室内環境を支える基準
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ただし、数字だけでなく「バランス」が大切
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暮らしの目的に合わせたUA値選びが、後悔しない家づくりにつながる
建てる前から性能値を約束。
「高性能」と「デザイン」の両輪を成す家づくり
気候変動が進む現代社会において、住宅の性能はますます重要になっています
冬の寒さも気になりますが、夏の暑さは地球沸騰時代の今日
家で亡くなる人も増えてきています
夏は熱中症、冬はヒートショックなど、性能の低い家は危険です
住まいは常に安全かつ快適・省エネでなければなりません
高性能な住宅は、熱中症やヒートショックなどのリスクを軽減し、家族の健康と安全を守ります
建てる前から性能値を約束します
私たちは、建築前から性能値を厳格に管理し
お客様に安心の住まいを提供します
断熱等級6(HEAT20のG2基準)の数値を約束
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全棟気密測定実施により、気密C値0.5以下、断熱UA値0.46以下の高性能をお約束します
これは断熱等級6(HEAT20のG2基準)にあたります。
基礎断熱ではなく、床暖熱を基本とし、気密シート、気密テープ、バリアBOX等、
その他色々なツールと丁寧な施工で、目標とする気密の数値を確保しています
気密測定は、建物の気密性を評価するプロセスです。建物内外の気圧差を利用し、空気漏れる量を測定し数値化します。正確な気密性はエネルギー効率を向上させ、断熱効果を最適化します。また、結露やカビの発生を防ぎ、快適な居住環境を提供し耐久性と快適性を保ち、エネルギー費用を削減します。 |
外部に抜けるダクト配管まわりはドームパッキンでしっかり気密をとり、さらに壁の気密シートに気密テープで止める |
コンセントはバリアBOXの中に入れ、BOXと気密シートをしっかりとめる。これで、コンセント自体は部屋内側になる |
確かな技術力と専門知識のある社員
高性能な住宅を実現するためには、確かな技術力と専門知識が欠かせません
当社の社員は、経験豊富で専門的な訓練を受けたプロフェッショナルばかり
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耐震もお任せください
安全な住まいを実現するためには、耐震性も重要です
当社では、等級3、もしくは3相当の耐震性を確保し、お客様の安心・安全を守ります