長く愛される家を建てたい──だから、私は吉野杉を選ぶ
「せっかく建てるなら、何十年も安心して暮らせる家を」
この願いは、どのご家族にとっても共通のもの。だからこそ私たちは、**“長寿命住宅”を本気で考えます。耐久性・メンテナンス性・素材の選び方──その中でとくに重要なのが「構造材」**です。
今回は、奈良県の誇る**吉野杉(よしのすぎ)**が、なぜ長寿命住宅にふさわしいのかを、建築の現場と暮らしの両面からお話しします。
100年かけて育った材は、100年もつ家をつくる
奈良県の南部に広がる吉野の山々は、日本最古の人工林とも言われる場所。江戸時代から続く林業の歴史のなかで、**1本1本を丁寧に間伐し、手間暇かけて育てる「密植・長伐期」**という独特の手法が守られてきました。
その結果、吉野杉は…
-
年輪が均一で密(吉野杉は、密植により成長が遅い為、年輪が密になっているので強度が強い)
密植=1haに吉野杉は8000本から12000本、其の他の杉は1haに3000ほんから5000本 -
節が少なく、美しい木目
-
粘り強く、折れにくい強度
という構造材として理想的な性質を持っています。
特に「粘り」のある材は、地震の際に衝撃を吸収してくれるため、耐震性にも優れています。これからの時代、**繰り返し地震にも耐えられる“しなやかさ”**は非常に重要です。
吉野杉が家の“寿命”をのばす3つの理由
① 時間をかけて乾燥し、構造材として安定する
吉野杉は、天然乾燥や低温乾燥でじっくり水分を抜いてから使われます。これにより…
-
含水率が安定し、反りや割れが起きにくい
-
接合部の劣化を防ぎ、構造が長持ちする
-
内装材としても安心して使える
といった、長寿命化につながる要素が備わるのです。
② 室内の調湿作用で、住まい全体が呼吸する
木材は、呼吸する素材です。特に吉野杉は調湿性能が高く、室内の湿度が高いときは湿気を吸い、乾燥時には放出することで、結露やカビの発生を抑制してくれます。
これは、住まいの構造体が健全に保たれるだけでなく、家族の健康にもつながる、目に見えない大きな価値です。
③ メンテナンス性に優れ、交換・修繕しやすい
無垢の吉野杉は、万が一傷んでも部分的な補修が可能。集成材と違い、接着剤の劣化リスクがなく、将来的に部材単位での交換にも柔軟に対応できます。
また、地元の木材だからこそ、必要なときに安定して供給できるという点も、長く住む家にとって大きな安心材料です。
家そのものが、地域とつながるという価値
吉野杉を使うということは、単に“いい素材”を使うだけではありません。
-
奈良の山を守ること (伐採、植林の循環を繰り返し自然を守りながら繋げる)
-
地元の林業を支えること
-
輸送時のCO₂排出を減らすこと
私たちは、家を建てるという行為を通じて、自然と人と地域をつなぐ循環を生み出すことができます。
たとえば、吉野の職人さんが育てた木を使い、地元の大工さんが組み上げる家──。それは、“顔が見える素材”で建てる、安心と信頼の住まいとも言えるでしょう。
女性目線だから見える「木のやさしさ」
私自身、吉野杉の家に住んで実感するのは、「空気がやわらかい」という感覚です。暑い日でも、室内の空気がどこか優しく、湿気を感じにくい。冬でも床に触れたときに冷たさを感じにくい。
それは、吉野杉が目に見えないところで、家族を守り続けてくれているからなのだと思います。
家づくりに携わる立場としても、母としての目線でも、「安心して子どもを育てられる環境」をつくるなら、この木を使いたいと素直に感じています。
“長く暮らす”ために、“長く育った木”を選ぶ
「長寿命住宅」という言葉は、単に耐久年数が長いだけでなく、**家族の思い出や時間を積み重ねられる“器”**であるべきだと考えます。
100年育てた木でつくる家は、100年後もどこかに命をつなげてくれる。
それが、吉野杉の家の本当の価値です。
もしあなたが、「子どもや孫に受け継げる家」をお考えなら──
奈良の吉野杉という選択を、ぜひ知っていただきたいと思います。