暑さと寒さを数値で見える化。断熱等級6・7の必要性
■ はじめに:家の快適さは「数値」で語れる時代に
「夏はエアコンをつけても涼しくならない」
「冬は暖房を入れても底冷えがする」
こうした悩みは、実は“家の断熱性能”が大きく関係しています。
かつては「住めればいい」「広さや間取り重視」で家づくりを考える人も多かったのですが、気候変動によって 猛暑と厳冬が長く続く“二季”の時代 に入った今、家の性能は「健康」と「生活費」を左右する重要な要素になっています。
そして、その性能を示す基準となるのが**断熱等性能等級(断熱等級)**です。
2022年に国が新たに示した 断熱等級6・7 は、これからの日本の住宅にとって欠かせない“新しい基準”だと言えるでしょう。
■ 断熱等級とは?数値で示す家の「寒さ・暑さ対策」
断熱等級とは、住宅の断熱性能を等級で示したものです。
その評価基準となるのは「UA値(外皮平均熱貫流率)」という数値。これは 「家全体から逃げる熱の量を外皮面積で割ったもの」 で、数値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネ性能が高いことを示します。
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UA値が大きい → 熱が逃げやすい家(夏は暑く、冬は寒い)
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UA値が小さい → 熱が逃げにくい家(夏も冬も快適)
つまり、家の断熱性能は「体感」ではなく「数値」で比較できる時代になったのです。
■ 断熱等級6・7とは?新しい基準の登場
2022年、国は断熱等性能等級を見直し、これまで最高だった**等級4(平成28年基準)**を超える新しい基準を設けました。
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等級5:ZEH水準(UA値0.6程度/地域区分による)
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等級6:さらに厳しい基準(UA値0.46程度)
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等級7:国内最高水準(UA値0.26程度)
とくに等級6・7は、これからの日本の住宅に必要不可欠な性能であり、将来のスタンダードになると言われています。
■ なぜ断熱等級6・7が必要なのか?
1. 猛暑と厳冬の二季に対応するため
近年は5月から真夏日、11月でも半袖で過ごせる一方で12月に急激な寒波が来るなど、寒暖差が激しく中間期が短いのが特徴です。
こうした気候では、家自体がしっかり断熱されていないと冷暖房に頼るしかなく、光熱費が高騰します。
断熱等級6・7は、外気の影響を最小限に抑え、一年を通して快適な室温をキープできる家を実現します。
2. 健康被害を防ぐため
冬に多発する「ヒートショック」は、寒い脱衣室やトイレで血圧が急変することによって起こります。
また、夏の熱中症は室内でも発生しやすく、特に高齢者や子どもにとって命に関わる危険です。
断熱性能が高い家は、家中の温度差を少なく保ち、急激な体温変化を防ぐことができます。
健康寿命をのばす意味でも、断熱等級6・7は強い味方です。
3. 光熱費を抑えるため
電気代やガス代が高騰する中で、冷暖房に頼らなければ快適に暮らせない家は家計を圧迫します。
断熱等級6・7の住宅では、夏は冷房が効きやすく、冬は暖房が逃げにくいため、必要なエネルギー量を大幅に削減できます。
長期的に見ると、高性能住宅は建築費以上の経済的メリットをもたらします。
4. 資産価値を守るため
住宅の省エネ性能は、今後ますます市場価値を左右する要素になります。
国も補助金や住宅ローン減税の条件に「断熱性能」を組み込む方向性を示しており、等級6・7は将来的な資産価値を保証する指標となるでしょう。
■ 数値で見える安心感
断熱性能を「体感」や「口コミ」で判断していた時代は終わりました。
これからは、UA値やC値などの数値をしっかり測定し、見える化することが、後悔しない家づくりにつながります。
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UA値:家全体の断熱性能
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C値:家のすき間の少なさ(気密性能)
これらを測定し、等級6・7を満たす設計と施工を行うことで、建てる前から「快適さ」が数値で保証されるのです。
■ タテルナラが考える「これからの家」
私たちが家づくりで目指しているのは、単なる「高性能住宅」ではありません。
性能を数値で保証しながら、自然素材を活かした美しさや、経年変化を楽しむ住まいを提供することです。
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吉野杉の床材や土佐和紙の壁紙
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自然とつながる窓の配置
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家族の暮らしに寄り添う間取り
これらを組み合わせることで、数字だけでなく、五感で心地よい家を実現します。