石澤 眞知子 石澤 眞知子

家族を守る為に耐震性はどこまで必要か

公開日:2025/08/28(木) 更新日:2025/08/23(土) 家づくりのこと

家族を守るために、耐震性能はどこまで必要か

近年、日本各地で地震が頻発し、「家族を守る住まい」に対する意識は年々高まっています。私たちが奈良県でご提案している高気密・高断熱の高性能住宅は、快適さや省エネ性能だけではなく、耐震性能をいかに確保するかも大きなテーマです。地震は避けられません。しかし「どこまで耐震性能を高めるべきか」を知り、適切に備えることで、家族の命と暮らしを守ることができます。


耐震性能の等級とは?

まず知っていただきたいのは、日本の住宅には「耐震等級」という明確な基準があるということです。

  • 耐震等級1:建築基準法で定められた最低限の強さ。震度6強~7程度の地震に1回耐えられる水準。

  • 耐震等級2:等級1の1.25倍の耐力。学校や病院などの避難所にも求められる水準。

  • 耐震等級3:等級1の1.5倍の耐力。消防署や警察署など防災拠点と同等レベル。

「基準法を守って建てれば大丈夫」と思われがちですが、実際には等級1は“最低限”。大規模地震の後に住み続けられるかどうかは別問題です。


「命を守る」から「暮らしを守る」へ

耐震性能が高ければ高いほど安心ですが、単純に「耐震等級3なら無敵」というわけではありません。ここで重要なのは「何を守りたいのか」という視点です。

  • 耐震等級1は「倒壊せずに命を守ること」が目的。

  • 耐震等級2・3になると「命を守る+住み続けられる可能性を高める」ことにつながります。

地震のあと避難所生活を強いられるか、それとも自宅で普段通りの暮らしを続けられるか。この違いが、家族の健康や安心感に大きく影響します。特に小さなお子さまやご高齢のご両親と暮らすご家庭にとっては、「住み続けられる強さ」を持った家が大きな支えとなるでしょう。


奈良で家を建てるなら、どこまで必要?

奈良県は南海トラフ地震の想定震源域に近く、30年以内の発生確率は70%以上とされています。また直下型の地震も想定されており、「地震はいつか必ず来る」と考えることが現実的です。

こうした背景から、私たちが推奨しているのは耐震等級3を標準とする家づくりです。特に高気密・高断熱の家は構造の気密性が高い分、正しい施工と耐震設計が伴わなければ性能を発揮できません。耐震と断熱・気密をバランスよく計画することが重要です。


耐震性能とコストの関係

「耐震等級3」と聞くと、「コストがかかりそう」と不安になる方も少なくありません。確かに柱や梁の量が増えたり、耐力壁の配置に工夫が必要となるため、ある程度のコストアップは避けられません。

しかし考えてみてください。

  • 家が地震で損壊した場合、修繕費は数百万円から場合によっては建て直し。

  • 仮住まいの費用や精神的なストレスも計り知れません。

  • 地震保険も「再建費用の全額補償」ではなく、補助的な役割にとどまります。

つまり、初期投資としての耐震強化は、長期的に見れば安心を買うための最良の選択と言えます。


高気密・高断熱住宅だからこそ必要な「構造の精度」

私たちが建てる高気密・高断熱住宅は、断熱材の充填、気密シートの施工など細部にわたる正確さが求められます。そしてこれらの施工精度は耐震性能にも直結します。

  • 柱・梁・耐力壁がしっかり組まれていなければ、気密・断熱も不完全に。

  • 逆に高い耐震性能を備えた構造は、気密性・断熱性を維持する大前提。

つまり「耐震」と「快適性」は切り離せない関係にあります。快適な室内環境を長く保ちたいなら、地震で歪まない骨組みが不可欠なのです。


家族を守る「これからの標準」

これから家を建てる世代にとって、耐震性能は「どこまで必要か」というよりも「どこまで高めておくか」が重要です。

  • 命を守るだけでなく、生活を守る。

  • 地震のあとも安心して住み続けられる。

  • 子どもたちに「安全な実家」を残せる。

こうした価値を考えたとき、耐震等級3はもはや“オプション”ではなく“新しい標準”だと私は考えています。

 

家族を守るために必要な耐震性能は、単に「倒壊しないこと」では足りません。これからの家づくりに求められるのは、暮らしを守り続ける強さです。奈良という地域性を考えても、耐震等級3を選ぶことが安心と安全の最も現実的な答えだと思います。

快適な住環境と同時に、大切な家族を守る「強さ」を備えた住まい。高気密・高断熱住宅を建てるなら、ぜひ耐震性能についても真剣に考えていただきたいと思います。


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